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第19回 電子商取引の契約成立時期は分からない---2004.11.5  


今回は電子商取引の契約成立時期の定義についての問題提起です

電子商取引における契約成立時期が「申込みに対する承諾通 知が相手方のメールボックスに 読みとり可能な状態で到着した時、あるいは画面 上に承諾内容が 表示された時」とする到達主義であることはご存じの通りです。

しかしこの場合、仮に申込み者が「承諾通知のメールは届いていない」 とか「画面上にも表示されていない」と主張した場合に 果たして相手方はそれをどうやって反証するのでしょう?

以前私が講演で契約成立時期のお話をした際に、受講者の一人から 上記のようなするどい突っ込みをされて焦ったことがあります(笑)

申込者の利用するプロバイダが、POPサーバーの受信記録を 相手方に開示してくれるというのなら証明も可能とは思いますが 現実的にそれは期待できないないだろうと思いますし、仮に受信記録 を開示したとしても、メールの本文まで保存しているとも思えないので そういうことであればこの定義付け自体が実体に即していないのではないか と思い始めた次第です。

つまり真実の証拠を持っている通信媒介者が、それを証拠として提出しない ということが明らかであるなら、「確実な契約成立の実現」を目的として あえて到達主義とすることは合理性に欠けるのではないかと思うのです。
※発信主義であったなら、送信者が自前のSMTPサーバーの記録を残す ことで事後的な立証は可能ですし、迅速な商行為の促進という目的にも かなうので合理的だと思います。 他人によるなりすまし注文の危険は生じますが、それは受注後のプロセス の中で本人確認を行えば回避可能と思います。

ECOMのネットショッピング相談室にもかつて同様のトラブル相談が 持ち込まれて、契約が成立しているとみなすべきかどうか調停で 議論したことがありました。
その時は最終的に、「申込者は承諾通知がメールで送られることを 事前に知らされていなかったし、画面 上に承諾内容が表示されたという 証拠も存在しないため、契約が成立しているとは認められない。」 と判断しました。 そのケースではBtoCの契約トラブルだったこともあったので 消費者保護の観点からも無難な調停案だと考えたわけですが、 BtoBであれCtoCであれ、結果 的には同じ結論を出さざるを得ない のではないかと思います。

たしかに、実務上は契約は不成立と判断して現状復帰を促すという判断で 特に問題はないのでしょうが、そのことと法律の定義付けとは別問題 と思うわけでして、あくまでも到達主義とするのであれば、発信者側にも メールが相手先に到着したことを確実に確認できるような仕組みの存在 (郵便で例えるなら配達証明)が前提となるべきでしょう。 到達したことを客観的に把握できない限りは、裁判官が「契約は成立している」と判断することは一度もないでしょう。

POPに配達証明自動返信機能が実装されたら解決できる問題ではありましょうが そうなると今度は、メールが文字化けして読めなかった場合でも契約が成立 したこととして扱われる危険性が生じますし、それらとは無関係なところで スパマーにとって有効なアドレス確認の格好の道具として活用されそうで、 手放しで喜ぶわけにもいきません。

最終的に問題となるのは、メールが相手方に間違いなく届いたことを 確認する仕組みがないということです。 「受信者が届きましたよ、と返信すればよい」との指摘もありそうですが 到達主義では受信者が現にメールを読んだかどうかは問わないわけですので 問題解決にはなりません。

この問題について、皆様からもご意見がいただけると幸いです。

 

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