近年世界各国では電子位置特定システムの普及がめざましい。例えばタクシー会社や運送会社などではGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を使用して自社の車両の現在位 置をリアルタイムで把握し、的確な配車を行う上で役立ってる。


NTT DoCoMoのPHSを利用した「いまどこサービス」というものをご存じだろうか?基地局の位 置情報からPHSの所持者の現在位置をFAXやインターネットで検索できるサービスだ。想定される利用シーンとしては親が小さな子供に持たせることで居場所を把握したり、徘徊老人を追跡したり、会社が営業マンの立ち寄り先を把握するなどが考える。同種のサービスはPHSだけではなく、DDI(第二電電)と日本移動通信(IDO)も携帯電話の利用者に現在の居場所に近い駅や遊び場所を教えるなどの「位置検索サービス」を7月17日からEZウェブで始めると発表した。

一昔前なら007でしか実現し得なかったような事が今や誰でも簡単に、しかも低料金で利用できる時代になったわけだ。しかしどんな道具にも共通しているように、使い方を間違えると様々なトラブルの原因となるわけです。めざとい人なら「いまどこサービス」が開始した時点でよからぬ 使い方を思いついたのではないだろうか?いや、誰でも思いついたかも知れない。つまり断りなく他人の行動を監視するための道具としての利用法を。

「いまどこサービス」の端末はマウスの半分程度の大きさだから、こっそりと旦那さんのカバンの中に仕込んでおけば、残業と偽った浮気もあっさり見抜かれてしまうことだろう。まあでもその程度のことならさしたる害はないし、調査会社に尾行を依頼したら3日で20万円以上にはなる事を考えれば、ある意味世の中の役に立っているのかも知れない。しかし悪質な例を考えると、ストーカーや上司がターゲットや部下の所持品や車両に無断で取り付けて行動を監視することなどが考えられる。これは明かなプライバシーの侵害だ。

アメリカではすでにこういった電子位置特定システムに対して批判的な意見が出ており、ワシントンに本拠を置く「電子プライバシー情報センター」(EPIC)も「ユーザー本人が管理できる仕組みでなく、他の個人あるいは組織が本人の同意なしに追跡を行なう場合、これは重大なプライバシー問題となる」と語っている。

つまり営業マンは、勤務中は、自分の立ち回り先が監視されていても仕方ないと思うかもしれないが、かといって上司がいつでもシステムにアクセスして、自分の動きを24時間監視することには大きな抵抗を持つであろうと言うことだ。当然の話である。

NTTドコモは、タウン情報や地図情報サービスの事業者、営業支援システムなどのASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)に対し、携帯電話やGPSから取得した位置データを提供するサービスを7月中に開始する。 各サービス事業者は、iモード携帯電話やPHS/GPS内蔵のモバイル端末を持った利用者に対し、近隣の観光情報やレストラン情報を発信できるとのことらしいが、言い換えれば各サービス事業者は常に契約者の位置を把握できる権限を持つこことに他ならない。そうなると果たして個人のプライバシーが侵害されない保証はあるのだろうか?

今までに起こった電話会社の個人情報流出事件を見る限り、末恐ろしい限りである。もし、サービス事業者が興信所などに情報を横流ししたら、システム上は検索権限を持たない他人であってもお金さえ出せば赤の他人の行動を容易に追跡できる事態となってしまうだろう。

しかし、個人的にはそういった悪用による被害よりも役に立つメリットのほうがはるかに大きい思う。多くの人は、交通 事故や山での遭難のような緊急事態の際であれば、自分が追跡されるのは構わないと考えるだろう。せっかくの良いアイデアが一部の心ない人のために無くなるのは忍びない。その為にも電話会社やサービス事業者はプライバシーの取扱い体制には万全を期してもらいたいものだ。