インターネットを悪用した諸問題の早期発見と対応策を考えるサイト

ネット通販の落とし穴

あなたならどうします?

「おをっ!人気品薄のドコモ504シリーズが契約関係無しで1万円! 安い!安すぎる!これはもう買うっきゃない」

・・・と思いきや

ショップのホームページがジオシティーズのtripod
連絡先が携帯電話とジオシティーズのメールアドレスのみ
取引金融機関は銚子信用金庫と書いてあるのに代金の振込先として指定している口座は郵便貯金の個人口座

すでに終わってそうな気がするんですが・・・・。
こんなサイトで購入する人なんているんでしょうかね。

いるんでしょうねきっと。

騙されるものが悪いのか?

そもそも普通の消費者は、通信販売をするために販売事業者がどんな表示義務を課せられているのかを知らないでしょう。ジオシティーズというものが匿名で誰でも無料でホームページが開設できるサービスだということも知らない人が多いでしょう。取引金融機関と振込先金融機関の矛盾に疑問を抱かない人もいるでしょう。ましてプリペイド携帯電話が身分証明書なしでも買えるなんて、知らない人の方が多いかもしれません。*1・・・それが現実です。 だからといって、そんな消費者を責めるのは酷というものです。何故なら、どれほどの消費者が特定商取引法の表示義務を知っているでしょうか。プリペイド携帯が匿名で購入できる裏物サイトの存在を知っているでしょうか。無数にある無料ホームページサービスの種類をすべて把握しているでしょうか・・・。

すべては人をだます人間が悪いのです。いやいや待てよ、もしかしたら匿名で商業サイトを開設できる場を提供しているジオシティーズなどが悪いのか?それとも、法律に違反して商売をしているサイトを取り締まらない行政の怠慢なのか?・・・

考え出すと堂々巡りに陥るだけですのでやめましょう。たとえ誰が悪くても、騙された人が一番損をすることには変わりないわけです。 でも皆さんは、上のようにあからさまに怪しげなショップには決して騙されない程度の社会経験はお持ちでしょうね。

*1 現在は携帯電話不正利用防止法により、プリペイド携帯の販売時に本人確認が義務付けられています。


さてそれでは、次のような相談事例ならどうでしょうか?

在庫を持たないから安く提供できるとの触れ込みでダイアモンドを格安で販売しているサイトがありました。結構古くから見かけたサイトで、ホームページには事業者表示もされておりドメインも 独自のものを使用してたので、妻にクリスマスプレゼントをしようと思いメールで注文してみました。

納期は「加工のご注文をいただいてから休日を除いて約3週間」とのことでしたので、11月末に相手口座に57万円を振込み、12月13日に振込確認のメールが来たものの、翌年1月中旬まで全く連絡がないままクリスマスは過ぎてしまいました。

何度メールを出しても返事が来ないため、1月下旬に妻が電話で直接問合せすると「鑑定書が入手できない為、再度輸入して調整する」との回答。にも関わらず同じ品は依然販売されている。それ以降、何度も確認をしていますが「鑑定機関で鑑定書ができない為」等の理由でずるずると引き伸ばされ、4月になると今度は「輸入業者が遅れた為納品できなかった」とのこと。ここでも 正確な納品日は伝えられなかった。もう信用できなくなったので返金を求めると5月にメールの返事が来て「業者への取消し作業は済んだ。返金は業者が6月中旬にするだろう」等の記述のみ。HPでは同じ内容のダイヤモンドは相変わらず登載されていた。

その後、7月になった今も何の連絡も返金もありません。

いかがでしょう?これでもあなたは騙されない自信がおありですか?
あるいは、あなたの子供さんや奥さんは大丈夫でしょうか?

この相談内容を整理すると「2001年12月12日に商品金額を振り込んだにも関わらず、2002年05月14日現在、納品も返金も成されていない。」という事です。当初の取引条件では「代金振込み後3週間で納品」との事のようですので、6ヶ月も経過して納品も返金もされていないということは明らかに債務不履行に該当し、契約の取消しを要求できる状況だと思われます。もうすでに被害者の方からも契約の取消しと返金を要求済みのようでしたが、メールや電話による請求は後々の法的手続きを考えた場合、証拠能力に乏しいので、きちっとした書面 による内容証明郵便で請求を送付するようにアドバイスしました。と同時に、こうした事業者相手のトラブルならば消費生活センターに仲介・あっせんを依頼するか、弁護士への委託を薦めています。調べた結果、この業者は集団訴訟を起こされていました。もちろん弁護団側は、詐欺罪としての刑事告発も進めています。このケースは、たまたま事業者の所在が明らかだったために、民事訴訟が可能だったわけですね。


騙されないためのチェックポイント

ネット通販の詐欺には、三つのパターンがあります。 ひとつは、匿名のサーバーを使用して、事業者表示も一切行わないで怪しげな物品を販売するケースです。この場合、売っているモノが児童ポルノビデオだった り違法薬物だったり架空口座だったり、いずれも買うことがはばかられるモノであるため被害者が訴え出ることが出来ず、泣き寝入りすることを狙った手口です。 ふたつ目は、そうしたモノを自前のホームページではなく、個人売買の掲示板などで販売するケースです。 そして最後が後述の事例のように堂々と自社の社名や所在地を公開しながらパソコンや宝飾品などを販売し、債務不履行に見せかける詐欺の手口です。

違法なモノを購入しようとして騙されても、それは自業自得と言えますし、そもそも違法なモノを売っている事業者の中に信頼できる者が存在するはずもありませんが、まっとうな商品を購入しようとする場合に、その事業者が信頼できるかどうかを見極めることはある程度は可能です。ポイントは以下の2つです。

1.ロボット検索による風評調べ

Googleなどのロボット検索エンジンを利用して、その事業者の名前を検索してみましょう。もしトラブルを多発しているような事業者であれば必ず何らかのクレーム情報がヒットするはずです。また、悪質商法の情報のみを収集して情報交換しているサイトもありますので、事前に掲示板などで確認してみると良いでしょう。

グーグル
http://www.google.co.jp/

悪徳商法マニアックス
http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/

2.「特定商取引に関する法律」の遵守状況の確認

インターネットショッピングは「通信販売」になり、「特定商取引に関する法律」(旧訪問販売法、平成13年6月1日施行)によって事業者に対し広告規制を課しています。したがってホームページ上の広告についても以下の事項を表示する義務があります。

1.価格
2.支払いの時期と方法
3.商品などの引渡し時期
4.商品引渡し後の返品の特約(返品できない場合はその旨)と条件
5.その他、以下の事項

a.事業者の氏名/名称・住所・電話番号
b.事業者(法人の場合)の代表者名・または通信販売業務の責任者名
c.申込の有効期限(期限がある場合のみ)
d.価格や送料以外の付帯的費用
e.商品に隠れた瑕疵がある場合の事業者の責任について(規定がある場合のみ)
f.商品の販売数量の制限、その他特別な販売条件
g.広告の表示事項の一部を表示しない場合に、消費者がそれらを記載した書面を請求した場合のその費用負担(消費者に負担を求める場合のみ)

これらの表示は必ずしもホームページ上に全てを記載しなければならない訳ではなく、一部の事項については注文後の電子メールによって告知しても構わないとされています。いずれにせよ、自分が購入しようとしているサイトについて、これらの表示が適正に行われているかを確認することはとても重要です。もちろん、表示されている住所や電話番号が偽りのものでないかどうかを実際に確めてみる必要があることは言うまでもありません。


騙されてしまった場合の対処法

細心の注意を払っていても騙されてしまった場合には、以下の方法で対処してください。

1.最寄の消費生活センターに相談する
消費生活センターは、事業者と消費者との間に発生した消費契約トラブルについて仲裁や仲介・あっせんを行ってくれる公的機関です。上位 機関は国民生活センターになり、ここに全国の消費生活センターに寄せられる相談事例が集約されますが、個別の相談業務については最寄の消費生活センターで受け付けています。

*全国の消費生活センター
http://www.kokusen.go.jp/map/index.html
*国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/

2.他の被害者との連携
検索サイトを用いて事業社名を検索し、他にも同様の事業者に騙された被害者からの情報が公開されていないかどうかを確認します。本件が多数の被害者を出している債務不履行問題と判断される場合には、団体訴訟を検討し最寄の弁護士会へ相談に行って下さい。詐欺事案と判断される場合には、併せて警察へ被害届を提出して下さい。

関連情報

*消費者相談事例(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/jirei/
* 消費生活相談事例集(東京都消費生活総合センター)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/s_sodan/s_jirei_index.html
* やさしいEC法律入門(電子商取引推進協議会)
http://www.ecom.jp/kaniya/index.html
* かしこい消費者となる為に(電子商取引推進協議会)
http://www.ecom.or.jp/qecom/consumer/top.htm
* 最近の相談事例(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会)
http://www.nacs.or.jp/cite.html
*ネットショッピング紛争相談室
http://www.ecom.jp/adr/
*通販110番(日本通信販売協会)
http://www.jadma.org/t110/t110_4j.html

PAGE END
PAGETOP
Copyright © WEB110 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.