case-1 ワンクリック(自動登録)サイトの不当請求
相談事例
先日、メールでアダルトサイトの広告メールが届き、いつもは削除しているのですが、その時に限り中を覗いて見たくなりURLをクリックしてしまいました。するとメニュー画面 が表示されたのでタイトルをクリックしたところ、こちらの承認無しで「会員登録完了」のメッセージが表示されました。
そしてその数分後には請求のメールが来ました。
利用規約は画面下の方に書かれており、そこには「メニューをクリックしたら契約成立」「只今キャンペーン中、3日以内支払えば2万円、その以降は5万円」「入金が確認できない場合は1日につき500円のアカウント維持費がかかる」「回収手数料や回収員の交通 費も請求する」などと書かれていました。
サイトの どこを見ても「退会」の文字がないので、おそらく、振込みするまで退会はできないと思っています。
この場合、代金を支払わないといけないのでしょうか。
ワンクリックサイトとは、携帯電話やパソコンに届いたメールに記載されているアドレスをクリックしただけで自動的にアダルトサイトへの登録が完了し、それを理由に代金の支払いを要求する悪質なサイトのことです。
多くのケースでは、業者はあらかじめ消費者のメールアドレスを埋め込んだURLをスパムメールとして送ってくるので、そのURLでアクセスした時点で業者の元にはアクセスした人のメールアドレスが記録されます。
また、メールアドレスが埋め込まれていない場合には、アクセスしたユーザのIPアドレスと共に「個人識別 コード」なるものを画面に表示して、「個人識別コードはPC個別 に割り当てられている個人情報を識別可能な次世代コードです」などと書いているところもありますが、そのようなコードは存在しません。あたかもそれらしい番号をランダムに表示させているだけのことです。つまり業者にはアクセスした人がどこの誰かなのは全く分かっていないのです。
左の例では、アニメーションgifを使ってあたかも訪問者の個人情報が自動的に登録されているように見せかけている。
完全な架空請求とは異なり、一応は消費者のクリックによって登録をさせているところがサイト側の知恵とも思いますが、手口としては「わんぎり」と同じです。契約は、一方の申込を相手が承諾して初めて成立するものですが、アクセスしただけで契約申込の意思表示があったとみなされることはなく、契約成立のためには事前に何らかの手続(利用申込等)が行われている必要があります。
したがって、このような場合にサイト運営業者から料金請求があっても、支払いに応じる必要はありません。仮に利用申込み等の手続きがあったとしても、料金の金額を明示した上で有料サイトを利用するか否かの意思確認がない限りは、「電子商取引に関する準則」に照らしても有料サービスの利用契約が成立することはありません。
そもそもこういった、うっかり有料サービスに入ってしまうようなサイトの設計は、特定商取引法で定める「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」に該当するもので主務大臣による指示の対象となります。
このようなサイトに仮にクリックミスで登録したとしても、料金などの申込み内容を確認するための適切な措置をサイト側が講じていない場合は消費者側の重大な過失とは扱われず、電子契約法3条(民法95条の特例措置)で錯誤無効が主張可能なのです。
また、 規約をすべて見なくともサービスの提供が出来るようにしたのは業者の勝手ですし、規約に書いてあれば何でも業者の思い通りになるわけでもないのです。
消費者契約法により無効とされる不当な条項例
(第8条)事業者の損害賠償の責任を免除する条項
(第8条)事業者の瑕疵担保責任の全部を免除する条項
(第9条)消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項
(第10条)消費者の利益を一方的に害する条項
消費者契約法に基づいた所見
違約金があらかじめ定められていても当該事業者に生ずる平均的な損害の額をこえるときは、超えた部分についての契約条項が無効になる。
規約違反をしたことによって実際にどれだけの損害が発生したかによって違約金が決定されるべきであって あらかじめ高額請求できるような規約は無効。
「1日500円の契約損害金」は実質的には「遅延損害金」と思われるが、消費者契約法9条「損害賠償額の制限(年利14.6%)を超えているから超えた分が無効。
しかもこの手のサイトでは事業者の連絡先を記していませんから、特定商取引法で定める「広告表示義務」違反でもあります。
結論を言いますと、この手の「はじめから錯誤を狙ったようなサイト」に対して一切お金を支払う必要はありません。一度でも支払うとカモリストに登録され類似の請求が相次ぐ可能性が濃厚です。
ただし一つだけ気をつけないといけないことがあります。 もしも相手が何らかの手段によってあなたの個人情報を入手して、実際に少額訴訟を提起するような事があった場合は裁判所からの訴状、口頭弁論期日呼出状は無視しないようにして下さい。最初の期日の前までに答弁書を提出しないまま決められた裁判の期日に出席しない場合には、原告の言い分どおりの少額訴訟判決が出ることになります。そのような場合は速やかにお近くの消費生活センターへ相談へ行くようにしましょう。
(参考)
全国の消費生活相談窓口
http://www.kokusen.go.jp/map/
IPAも“スマホ版ワンクリック請求”を確認、料金督促SMS届く
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120206_509765.html
日本のスマートフォンを狙うワンクリック詐欺(シマンテック)
http://www.symantec.com/connect/blogs-237
読売新聞:サイバー護身術 iPhone、Androidでもアダルト詐欺
http://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20111202-OYT8T00834.htm?from=os4
不正なプログラムにより、パソコンのデスクトップに請求画面などが貼りついてしまった場合の対応は、下記ページをご参照ください。
【注意喚起】ワンクリック請求に関する相談急増!
http://www.ipa.go.jp/security/topics/alert20080909.html
【無料】ワンクリックウェア駆除ツール
http://fos.sitemix.jp/blog/studio/oneclick
システムの復元方法
http://www.microsoft.com/japan/windowsxp/pro/business/feature/performance/restore.mspx
対処方法がわからない場合は IPA にて電話対応しておりますので、パソコンを操作できる状態で下記にご相談ください。
コンピュータウイルス 110番
電話番号:03-5978-7509 (24時間自動応答、ただし相談員による
相談受付は休日を除く月~金の10:00~12:00、13:30~17:00のみ)
case-2 無料お試しの罠
相談事例
数ヶ月くらい前から、クレジットカードに毎月29.95ドルの請求がきているのですが、請求書の「利用店名」に記載されている店名には全く身に覚えがありません。アダルトサイトの無料体験には申し込む時に「年齢確認」のためにカード番号を入力した覚えはありますが、入会したつもりはありません。今となってはどこのアダルトサイトにカード番号を入力したのかさえ分からなくなってしまいました。カード会社へ相談しても「インターネットでの情報提供サービスについてはご自分で解約手続きを行ってください」と言われてしまいました。こういう場合、どうすれば解約が出来るのでしょうか。
「1週間無料お試し会員」という名目でカード番号を入力させるサイトを良く見かけます。しかし利用規約をよく読んでみると、必ずと言ってよいほど「無料体験期間終了の3日前までに退会の意思表示がない場合には、自動的に1ヶ月会員に更新されます」などと書かれているものです。このような場合、本人は入会した覚えはないため、解約方法はおろか、そのサイトのアドレスさえわからなくなっているケースが少なくありませんが、現に契約を交わしている限り自分で解約手続きを行わなければ支払いを免れることは困難とお考え下さい。
では、アダルトサイトの情報が全く分からなくなった状況や、アダルトサイトからは解約が無視されるといった状況で、どうやって解約を行えばよいかと言うことですが、この場合は、請求書に記載されている「利用店」に対して、解約の申請を行うことになります。ここに記載されている「利用店」とは、アダルトサイトのクレジットカードによる決済を専門に行っている決済代行会社のことです。本来この会社は決済業務だけを委託されているわけですから、勝手にアダルトサイトへの会員登録を解除する権限は持っていないのですが、やむを得ぬ 事情でアダルトサイトへ解約手続きが行えない場合や、あらかじめアダルトサイトからの委託を受けて退会処理も兼任している場合には、この会社が退会手続きを受け付けてくれます。もちろん、大半の決済代行会社は米国の会社ですので、問い合わせのメールは英語になります。また、会社ごとに解約申請の方法が異なりますので、自分で決済代行会社のウェブサイトを探し出して調べる必要があります。
英語が得意な人ならば、それほど難しいことではありませんが、自信のない人は、いっそのことWEB110の解約支援サービスを利用してみてください。詳細な解約手順とともに、英文の解約依頼メールもご用意いたします。ただしこれは有料ですけどね。
WEB110アダルトサイト解約サポート
http://cancel-sp.com/
Case-3 弱みをネタに恐喝
相談事例
2年前、とある素人女性紹介サイトに対して、援助交際希望の資料請求を出しておりました。ところが最近になりまして、そのサイトからとんでもない文章のメールが送られてきました。以下がその内容です。
重要通告!!
あなたは以前、下記のとおり当会へ資料請求してこられ、自分の住所・名前・希望の 女性との性行為等について明記していますが、その後いかがお過ごしでしょうか。さて、最近ではインターネットのホームページやEメールを悪用した犯罪が多発していますが、当会に対しても、いやがらせや脅迫をしてくる者が増えてきました。そこで当会は合法的対策の一つとして、資料請求をしてきた人の住所・名前・希望 の女性・希望の性行為等について、これからは強制的公権力以外のときでも場合によっては公表することになりましたので御注意下さい。例えば、令状を持っていない警察官・弁護士・裁判所・検察庁・あなたの両親や家族・あなたの家の近所の人、あなたの職場の上司や同僚等にも公表する場合もあるということです。そうでないと、当会が損害を受けてしまうこともありますので、自己防衛しなければならないためです。この場合、あなたの希望していた女性とか、希望していた性行為等についても、まわりの人たちに知られてしまうことになりますが、しかたありませんので、どうかお許し下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。 ただし、どうしても今までどおり強制的公権力以外の場合は絶対に公表しないでほしいと希望なさるのならば、特別 対策料として25,000円を現金書留で郵送していただければ、今までどおりとさせていただきますので、御安心下さい。期限は、このメールがあなたへ届いてから10日以内とします。もし、10日以内に特別 対策料25,000円が当会へ届かなかった場合は、今までどおりとはなりませんので、御了承下さい。なお、金額は少し高いですが、その理由は本来ならばできないことを今回だけ特別にさせていただくためであり、もしもの場合の危険性を当会が覚悟しなければならないからです。
これはどう見ても「口止め料」を要求する恐喝行為だと判断できますね。しかしよくもまあ、いけしゃあしゃあと、こんな要求が出来たものです。この会社は、以前から稚拙な口実で資料請求者に金銭を要求する行為を行っておりますが、弱気な人は払ってしまうのでしょうね。
しかし、お金を払って済む問題ではありません。一度払ってしまえば、この手の業者のカモリストに載ってしまい、似たような業者からあの手この手でゆすられるのがオチではないかと思います。こういう場合は、相手の言うことには耳を貸さず、速やかに警察へ報告してください。無視しておけばそれで済むことのような気もしますが、この会社は、他にも複数のサイトを所有しており、「風俗業界から足を洗いたい女性募集」や「風俗店に潜入調査してくれる女性募集」とうたって履歴書を送付させていたりと、人の弱みや特殊な人材を集めるような内容になっているため、至るところで悪どい要求をしている可能性があります。しかも、表では興信所も経営していることから、資料請求して来た人の個人情報を情報調査のネタとして利用している可能性も考えられます。
被害者が声を上げることによって、こうした悪質業者を排除することができるものと認識していただき、勇気をもって対処してください。
Case-4 パーティー詐欺
相談事例
出会い系のサイトで知り合った女の子に、乱交パーティがあるから是非にと誘われ、内容もしっかりした物に見えたので、(名古屋のホテル、女性には病気の検査、キャンセルした場合には返金と書いてあった)ホテル代と、食事代で2万円を振り込みました。それ以来いっこうに返事がありません。どのようにしたらよろしいでしょうか?出来れば取り返したいですし、出来なければ、ぎゃふんと言わせたいのですが。
ここまでくると、騙される方の自業自得と言う気もします。信用した基準が私には到底理解が及ばないのですが、おそらく相手は巧妙に信用させる方法を身につけていたのでしょうね。今回のケースでは参加費は前払いだったようですが、類似の例では、参加費は集合場所の横浜駅前でアルバイト女性に回収させ、男性陣だけを貸しきりバスに乗せて逃げた手口がありました。期待に胸膨らませて熱海駅に到着したご一行は、来るはずもない女性陣を日が暮れるまで待ちつづけていたそうです。
このようなケースでは、確かに詐欺ではありますが、もともと「乱交パーティー」というような公序良俗に反する契約自体が絶対的に無効となります。ですから不当利得の返還請求(騙し取られたお金の請求)も許されません。「不法原因給付」(民法708条)
つまりこうした公序良俗違反の契約当事者を、もともと騙されても仕方がない立場にすることで、こうした契約が行われにくくすることに708条の目的があるのです。同様に、買春や麻薬・拳銃など、買うこと自体が違法とされるもので騙されても、法律は被害者を一切保護しません。
いかがでしたか?実に様々な手口があるものですが、いつの世も騙される方より騙す方が一枚も二枚も上手です。幸いにも被害金額は大した額ではないので、「最悪騙されてもしょうがない」という覚悟があるならば、あとはご自分の判断で冒険してみてください。
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