今回私から問題提起させていただくことは、ワンクリック またはアクセスしただけであたかも契約が成立したかのように主張し、 それにより入会金や会費を払わそうとする行為が刑法上の詐欺罪に当たらないのかという点です。

ご存じの通り詐欺罪の構成要件とは、「人を欺いて財物を騙取し または被欺罔者の処分行為によって財産上不法の利益を得る犯罪及びこれに準ずる行為」とあります。

この点、最近問題になっている多くの自動登録サイトでは、消費者が契約の意志 もなく、単にメールに記載されていたURLにアクセスしただけ、または単にウェブ ページ内の画像やボタンをクリックしただけ、場合によってはマウスカーソルが 特定の位置に重なっただけで自動的に登録完了のページに切替わる等の手段によって 外観上あたかも契約が成立したかのように装い、その事実を理由に、本来は契約など成立しておらず、当然消費者には支払い義務などないにも関わらず、あたかも法的に支払い義務があるかのような主張をし、消費者はそれが正しいと誤認して錯誤に基づく意志に基づいてお金を払っているものと私は考えます。

簡単に言うなならば、消費者はサイト運営者に欺罔されて、その結果、瑕疵ある意志に基づく処分行為によってお金を払わされているわけです。

一例です
どこをクリックしても登録完了画面になります(一度お試し下さい)
http://ai.puririn.jp/?pc0191

確かにサイトによって、いわゆる「登録完了」の画面が表示されるまでのプロセスには違いがあり、これらを勧誘から登録完了画面の表示までの流れで逐一違法性を判断していくのは現実的ではないかと思われますが、行き着くところはやはりサイト側の欺罔と消費者の被欺罔者の瑕疵ある意志に基づく処分行為であるところからすれば、詐欺の成立には影響はないものと思います。

一方で、一部の被害者は、契約の成立を誤認してお金を払ったと言うよりも払わないと恐い目に遭うのではないかと恐れて支払っていることもあるので、そういうケースにおいてはむしろ恐喝罪に近いのかとも考えますが、恐喝にしろ詐欺にしろ、この手のサイトを刑事的に取り締まる根拠となる点で問題はないと考えます。

架空請求についてはすでに詐欺罪として検挙されておりますが、何故かこの不当請求についてはその前例はなく、またこうした議論の場においても契約成立の有無や規約の有効性についてのみ触れられるだけで、不思議と詐欺罪としての成立が議論された記憶がありません。

従って私はこうした悪質なサイトの仕組みは詐欺罪として位置づけて徹底して社会から排除していくべきであると思います。 (というか私が言うまでもなく皆さん当然にそのように考えておられる のかも知れませんが)

いくら「これは契約が成立していないから無視しておけば良いのですよ」 との消費者啓蒙を繰り広げても一向に事態が収拾しない状況にあって、もはや消費者の自己防衛だけに任せるのではなく、こうした悪質な行為事態を積極的に取り締まっていくことを平行して考えて行かねばならないのではないでしょうか。