調査委託機関:公益財団法人 日工組社会安全研究財団
調査受託機関:WEB110.COM

報告書の全文詳細は公益財団法人 日工組社会安全研究財団のサイトで閲覧可能です。


第1 本調査の背景と目的(PDF119kb)

インターネットオークションが発展する中、盗品等の出品や不正品の取引等が顕在化している。こうした中、古物営業法の諸規制をインターネットの匿名性を特徴とした古物取引に適合させ、「盗品等の売買の防止及び速やかな発見」を図る必要性があることから、盗品等の出品の実態及びの予防対策の在り方について調査研究を行ってきたが 、その過程において盗品を多く扱っている「盗品サイト」についてさらに詳しく調査を行う必要が生じた。

そこで、一見して盗品らしき物が多く含まれており、かつ、主催者がそれを容認しているような「盗品サイト」を対象として、その実態等について追加の調査研究を行うものである。また上記実態を分析する前提として、インターネット上の古物取引一般についても更なる基礎データが必要であることから、併せて調査研究を行うこととする。

第2 研究又は収集する資料の内容と収集方法

(1)インターネット個人売買サイトの概要(PDF545kb) 

ここで調査対象とするネットオークションの定義とは、「消費者対消費者または事業者対消費者が競売方式で複数のジャンルに渡る物品の取引を成立させるシステムを提供するサイト」であり、古物商や小売事業者自らが売主となって物品を販売するために、通信販売の 一手段として競売方式を採用しているサイトや、特定の物品 (使用済み下着等)のみの競売の場を提供するサイトは除く。

国内ネットオークションの総数を把握する調査では、カテゴリ分類を有するディレクトリ型サーチエンジンを対象とし、「オークション」と言うカテゴリに登録 されているサイトの数を確認していく方法が最も効率的だと考えた。

この場合の検索方法も、基本的な部分では「A. 国内ネットオークションサイト」を検索する場合と同じとする。ただし、そこで抽出したウェブサイトをすべて目視で確認し、運営母体が法人か個人かの振り分け作業を行うものとする。

法人か個人かの判断基準は、ウェブサイト上の事業者表示の内容を一次的基準とし、事業者表示のないサイトについては当該URLを参照し、インターネットサービスプロバイダのユーザーホームページスペースで運用されているものは個人とし、独自ドメインで運営されている場合にはそのドメインの管理者情報をwhoisデータベースにより参照し、運営組織名称や責任者名称が法人名義でないものは、すべて個人サイトとする二次的基準により区別することとする。

調査にあたり、まず始めに国内の主要な個人売買専門サイトの総数を把握し、それらのサイトの主催者に対し個別に調査票を送付し 回答を得ることとする 。具体的なサイトの抽出方法としては ディレクトリ型のサーチエンジンによりカテゴリ検索を行い、「個人売買」及び「オンラインフリーマーケット」のカテゴリより該当サイトを選定することとする。

[調査票の質問内容 ]

  • サイト名
  • URL
  • 常時掲載されている 「売ります」メッセージの総数
  • 常時掲載されている 「買います」メッセージの総数
  • 一日の平均新規出品

国内最大級の掲示板としては「Yahoo掲示板」「2ちゃんねる」が有名であり、ほぼこの2件が国内最大級の掲示板サイトとして選出できる。ただ、「2ちゃんねる」には売買自体をテーマとしたカテゴリは存在せず、それに加えて、サイトのポリシーが「発言者のアイデンティファイを伴わない匿名発言」を標榜しており、発言者はメールアドレスはおろかハ ンドル名さえ名乗らず、また運営者側でも発言者の通言ログを取得しないサーバがある等の状況を鑑みてもこの場において売買行為が行われるとは考え難く、よって今回の調査対象からは除外する事とする。

一 方 、カテゴリ総数4800種類の規模を誇る「Yahoo掲示板」では、「2ちゃんねる」同様に売買をテーマとしたカテゴリは存在しないものの、発言に伴って、Yahoo!の会員IDが表示される。 このIDを取得する際に本人確認は必要とされておらず、一人で複数のID を取得することも可能ではあるが、少なくとも完全匿名の「2ちゃんねる」に比べると発言者の固有性は保持されている。その為、「Yahoo! 掲示板」においてはプリペイド携帯電話やコンサートチケット等の斡旋広告が、関連するトピックの中にいくつか見受けられた。

また、「Yahoo!掲示板」にはキーワード検索システムが用意されており、タイトルや本文に含まれている語句をキーワードにして検索することが可能である。検索結果には、ヒットした投稿件数と投稿内容の一部が表示されるようになっている。3週間以内の投稿しか調べることが出来ないという弱点はあるものの、この検索システムが投稿記事の内容を検索する唯一のシステムとしてユーザに開放されており、今回はこの検索システムを利用して調査することとした。

検索に用いるキーワードとしては、いくつかの実際の広告メッセージを参考に、一般的に使用される頻度の高い語句を使用するものとする。

古物営業と言えば元来、リサイクルショップ、質店、金券ショップ、美術品、ブランドショップ、古本等がその代表例として挙げられる。古物営業を行う者はインターネットで古物の売買を行う際にも古物商として都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。しかし、実店舗を持たずとも自ら開設したウェブサイトや他人が開設するウェブサイトの掲示板などを利用することで誰もが容易に不要品の売買を行うことが可能となり、古物営業法の存在すら知らない素人が不注意により無許可営業を行ってしまう懸念がある。あるいは、意図的に無許可で古物営業を行う確言犯の存在も予測される。

その為、ここでは無許可の古物営業に該当すると思われるウエブサイトの大概の数量を調査することとする。

調査方法としては、

  • (1) 裏情報サイト、告発サイト、アングラ掲示板サイト等、総じて非合法な情報が多く含まれるアングラサイトを数件抽出し、そこに含まれる投稿記事、広告メッセー ジ、リンク集から「盗品と疑わしき物品が多数出品されていそうなサイト」を目視で抽出する方法
  • (2 ) ディレクトリ型サーチエンジンのカテゴリの中より、盗品として流入する可能性の高い物品 ( マニア向けグッズ 、コレクターズ アイテム、自動車部品、オートバイ部品、マウンテンバイク等)のカテゴリを検索し、一覧の中より売買を行うサイトを抽出する方法
  • (3 ) 盗品として流入する可能性の高い物品の名称を用いてロボット型サーチエンジンでキーワード検索を行 う方法
  • (4 ) 公開調査


の4通りの方法を段階的に実施。

<公開調查実施要綱>


(実施期間)
平成14 年1月17 日~平成14 年2月16 日午前0時
但し、提供条件に該するサイト情報が「3件」に達した時点で企画は終了

(募集内容)
主として盗品や横領品の販売に利用されていると思われる国内ネットオークションサイトのURL

(適用条件)

募集するサイトは、下記のいずれの条件も満たしているネットオークションサイトに限る。

1. 出品商品の数多くが「盗品」または 「横領品」と疑わしき物品で占められている。

2. 主として日本人のみが出品をしている。(つまり日本語サイト)

3.サイトの管理者が、それらの出品を容認していると判断される。

4 . 過去3カ月以内に少なくとも3点以上の「盗品等の疑いのある」新規出品がなされている

「盗品」と疑わしき物品とは例えば次のようなもの

  • 中吊り広告、駅貼りポスター
  • 大量の女子学生の制服や体操着等
  • 車検証のないクルマやバイク
  • クルマやバイクの部品を同一人物が多数出品している(事業者は除く)
  • 付属品や説明書のないパソコンや周辺機器を同一人物が複数出品している

「横領品」と疑わしき物品とは例えば次のようなもの

  • 本来は非売品のタレントのバネルやポスター 、ノベルティーグッズ等
  • 飲食店や企業、公務員などの制服または装備品

上記の条件を満たすサイトを総合的に査定して、盗品等の斡旋を主目的とするサイトかどうかを判断する。

(2)インターネットにおける盗品・禁制品等の流入状況

過去の新聞記事、ネットニュース、告発ページ、掲示板への投稿記事などを中心に 「盗品」というキーワードで情報を収集する。

(3)盗品の可能性のある物品を出品していると思われる者の抽出 (2)~(3)(PDF48kb) 

オークションに出品されている物品が盗品であるかどうかは、被害者その他第三者より通報があ った場合を除き、外形的に判断することは困難であるため、選定基準として
・通常一般消費者が入手することが困難と予測される物(非売品、アルバイトの制服等)
・通常一般消費者が多数所有する必然性がない物(自転車、車、オートバイ、それらの部品、体操着、学生服等)
・通常一般消費者が複数同一商品を所有する必然性がない物 (パソコン、高級ブランド商品等)

・換金率の高いもの(金券、ハイウェイカード等)

の4項目の対象物品を設定。主要な大手ネットオークションの出品カテゴリの中から、上記の4項目に該当するカテゴリへの出品リストを目視で確認し、事業者の表示がないにもかかわらず反復継続して同種の商品を複数出品しているユーザを100名抽出する。

第3 調査結果

(1)インターネット個人売買サイトの概要 A~B(PDF393kb) 

A.国内主要ネットオークションサイトの数及び商品の出品数

B.個人が運営するオークションサイトの数 

C.国内主要個人売買専門サイトに掲載されているメッセージの数量 C~E(PDF609kb) 

D.国内最大級の電子掲示板における物品の販売メッセージの数

E.無許可で古物営業を営んでいると思われるウェブサイト 

F.盗品と疑わしき物品が出品されていると思われるウェブサイト(PDF260kb)

 (2)インターネットにおける盗品・禁制品等の流入状況(PDF295kb)

バイク盗み部品をオークションに2001.12.21
大阪府答と阿倍野署は1 7 日、大阪府住吉区内の私立大1 年生 (1 9 )と専門学校生 (1 9)の2 人を逮 捕したと発表。調べでは、2 人は、今年 9 月から1 0月末までに大阪市内の駐輪場などでバイク2 台を盗 んだほか、数台からマフラーやガソリンタンクなどの部品をはずして盗んだ疑い。部品はネットオークシ ヨンに出品、東京や神奈川などの14人に販売し約1 9万円を得ていたという。

バイク盗み、部品をネット販売 2001.10.3
調べでは、容疑者らは横須賀、横浜市内でオートバイを盗み、部品を取り外して自分たちのオートバイに取り付け、余った部品はネットオークションに出品、これまでに約50 万円の利益を得ていたという。 部品を取り外したオートバイは横須賀市内の海や山などに投棄、両署の捜索で約20台が発見された。 さらに十数人が犯行にかかわっているとみて両署では解明を急いでいる 。

下着ドロ・ネットで販売 2001.6.19
栃木県宇都宮中央署は18日、宇都宮市旭、無職、S・H (男2 6)を窃盗の容疑で逮捕した。 調べでは、容疑者は8日午後2時ごろ、宇都宮市内の主婦(44)宅に干してあった下着3枚を盗んだ疑い。同署は容疑者方から女性下着約500点を押収した。容疑者は4月ごろからインターネットで下着を販売、1枚1500円から5000円で約5 0人に150枚を販売し、約20万円を売り上げたとみられいている。

制服手錠など盗みオークションで販売 2001.3. 15
茨城県は14日、竜ヶ崎署地域課の巡査(25)を窃盗容疑で水戸地検土浦支部に書類送し、停職1か月の懲戒処分とした。巡査は同日付で依願退職した。 調べでは、巡査は94年以降、警察学校の体育館などから廃棄処分予定の制服など計10点を、98年には土浦署から拳銃暴発防止の安全ゴム2 点を盗み、うち8点をネットオークションに「本物です」などとし出品。出品した備品はいずれも原価の数10倍の値段(手錠とホルスター4万8000円、旧制服3万円、手錠や警棒帯革8 万円、拳銃暴発防止の安全ゴム1個4000円。)で落札され、約33万円の利益 を得たと供述しているという。他県管からの情報を受け、出品された装備品や銀行口座の名義などから 巡査を特定し、新たに土浦 留置管理課に勤務していた昨年8 月、留置場の監視業務中にロッカーから容疑者護送用の手錠一個(5 0 0円相当)を盗んだことがわかり窃盗容疑で書類送検したもの。手錠は巡査の自宅で見つかった。

 (3)盗品の可能性のある物品を出品していると思われる者の抽出(PDF690kb)

個人と思われる人物が常時複数の出品を行っているケースはYahoo で顕著に見られたが、総 じて他のユーザからの評価は良い。製造番号などが表示されている物は 1点しか見受けられなか った。e-bay Japan については、法人名を名乗っての出品が圧倒的に多かったため、今回のリス トに挙げる人数は少なくなった。Auction. exci te は主要なカテゴリのほとんどの出品者は法人。 個人で継続して出品しているユーザはほとんど見受けられなかった。

● 各サイトにおける該当者の人数

Yahoo Japan41
楽天フリマ21
e-bay Japan10
BIDDERS22
Excite8
合計102

第4 参考事項

(1) 違法・有害サイトの動向

(薬物・禁制品関係)

今回の一連の調査の結果、特に顕著に見られたのが、マジックマッシュルーム(以下MM)の栽培キット販売と個人輸入代行サイトである。MMは現在 (調査実施時点)、栽培及び個人目的の使用は合法(ただし、成分抽出は薬事法違反)とされている幻覚作用のある植物であるが、ネット上では、あくまでも「観賞・植物標本用」として販売されている。某サイトでは、マリファナやLS D、バイアグラの模倣品も多く、その成分は明らかではない。 また某サイトでは、MMの他にヘッドクリーナーやアロマテラピー、御香、試薬品といった名目で、不可解な薬物が扱われている。
複数の輸入代行サイトでは、米国からの輸入が主で、抑制剤のGHB (ガンマヒドロキシ酸)から性機能強化剤、抗鬱剤、育毛剤、ダイエット食品、ホルモン剤まで幅広く扱っている。これら薬物を扱っているサイトでは、通 販売に基づく表示をしているところもあるが、それ以外の公的な証明はまったく見受けられないものが多い。また、日本国内では未承認の薬もあるため、 それらに関する効能や服用方法等の表記はされていない。こうした違法薬物関連を主として販売するサイトは9件が確認された。

(架空口座 ・名義)
薬物に次いで、架空口座・名義を扱うサイトは非常に多い。ストーカーなどから身を守るという自己防衛の名目で開設されているサイトもある。主な架空商品は、大手都市銀行・郵便口座・ 携帯電話 ・国民健康保険・社会健康保険・プロバイダーID・免許証・クレジットカード・ガス電気明細書等である。料金は、都市銀行で1万5千円から2万5千円、郵便口座で1万5千円から3万円が主流であるが、名義指定や地方都市支店、カード・印鑑付きなどの場合は追加料金がかかる。口座付き携帯電話というセットも一般的であった。また、偽造身分証明書の場合、運転免許証が保険証に比べ高価で、35万円もするものもあるが、精度については不明である。
こうした架空口座・造身分証明書を主として販売するサイトは10件が確認された。

(その他裏情報系)
裏情報系では、携帯メールアドレスの売買、並びに、闇商売のノウハウ、悪知恵情報などを有料でメール送するサービスが多く見られた。そうした情報の中には、犯罪に結びつく危険な情報も含まれる。また、一般公募が禁止されている新薬モニターを有料で斡旋しているサイトや、裏物取引と呼ばれる掲示板も多く、闇情報以外に、毒ガス等の危険物も売られていた。アダルト系では、裏本・裏ビデオが顕著である。こうした裏情報を主として販売するサイトは7件が確認された。

第5 問題点の整理と今後の課題

(1)ネットオークション事業者に対する模範ガイドラインについて

一連の調査により、ネットオークションサイトの規模や知名度に関わらず、むしろ大手と言われるオークションサイトほど、禁制品、販売が禁止されている品、盗品、社会通念上不適切な品の出品が横行しており、加えて出品点数が数百を越える個人出品者がいるなど、種種の問題点が確認できた。
こうした問題が発生する原因の一つは、オークションを利用する際の本人確認方法の不備であったり、不正な出品や不適格者を監視、排除するための主催者側の自助努力の如によるものである。現行法で、オークション事業者に出品の監視・停止等の措置を義務づけるのが不可能であるならば、各オークション事業者ごとの運営方針の違い (本人確認方法の違いや監視体勢の違い 等)と、それに対するトラブル発生率の比較データを検証した上で、「トラブルを予防するために必要な措置」をガイドライン案として策定する必要があるのではないだろうか。
盗品等の売買や詐欺を防止する上でネットオークション事業者に是非実施して欲しい事項(良心的な事業者なら実際に守れる事項)として、「利用登録時の基準」と「運用システム」の両面から、以下のようなモデルプランが理想と考えられる。

ネットオークションサイトの中でも、フリーメールでの登録を不可としているところはあるが、 フリーメール自体が次々と新たに登場するため、制限リストの更新作業には手間がかかる。よって、第三機関が一括してリストを作成、更新し、オークション事業者に配布する形を取ることも考慮した方が導入がしやすくなるだろう。プロバイダのドメインによる利用制限に関しても同様。

クレジットカードによる本人確認だけでは不十分である 。オンラインで与信する項目は「カード番号」と「有効期限」だけであり、サインも必要としないオンラインサインアップでは他人の カード情報でなりすまし登録することは容易である。また、クレジットカードの不正使用があったとしても、オークション事業者がそのことに気づくのは早くとも最初の請求が行われた後となり、その間に詐欺等の違法行為等が行われる危険性は 十分にある。
利用者の認識としては、「クレジットカードによる利用登録を行っているサイトは安全だ」という誤った認識があり、取引相手に大して十分な身完確認を怠る可能性があるため、安全性の確保の点からも、犯罪防止の点からも厳格な本人確認の採用は重要な課題と言える。

  1. 事業者の連絡先の表示
  2. 苦情処理専用窓口の設置
  3. 苦情に対しての誠意ある対応
  4. 利用者に対する禁止事項の遵守
  5. 補償、保険の適用実績の開示
  6. 被害届受理番号を伴った被害者に対して、取引相手の情報開示

大半のオークションサイトの利用規約では、数多くの禁止事項を設けていながらも、実際にその規約に反する利用者がいたとしても、何らの措置を講じることもせず放置しているサイトが見られる。違法な出品者に対して会員から苦情メールを送っても、一切具体的な回答は返って来ない。 また、全てのオークションサイトでは、いかなるトラブルにも一切の責任を負わないと規定し、「すべては 事者同士で解決すること」を要求しているが、それでいて取引相手に関する情報は 、守義務を理由に「捜索差押許可状 」若しくは「捜査関係事項照会書」がない限り一切開示しない。捜査を担当する巻察官が連絡をとるための電話番号すら公開おらず、被害者より連絡先を問い合わすメールを送っても一切回答しないサイトもある。 こうしたガイドラインを元に、認証マークなどを付与するという方法も検討の価値はある。これは行政法規や強行法規等の法律による規制ではないが、認証マーク制度の告知を十分に消費者に行うことにより、オークションサイトを選ぶ基準の一つとして浸透させ、ひいては事業者が法規制によらずとも自発的にガイドラインに準拠するよう改善していくことを期待できるであるう。

(2)届出番号、許可番号の表示義務と信頼性の維持(PDF372kb)

今回の調査の過程で、ウェブサイト上に「古物営業届出済」「無店舗型性風俗特殊営業届出済」、映像送情型性風俗特殊営業届出済」という表記がされていたものが数多く見られたが、管轄の警察署の名称や届出番号の表記のないものがあり、また仮に届出番号・許可番号が表記されていても、それが確かなものであることを確認することができなかった。中には、事業者表示の電話番号が住所地とは異なる収容局の局番であるものもあった。

こうした番号の表示にあたっては、オンラインショッピング・トラストマークなどと同様にその番号の信頼性を保証するための「認証情報」が必要ではないだろうか。すくなくとも都道府県の警察、公安委員会のウェブサイト上に、届出番号や許可番号から事業者情報を検索できる仕組みが用意されているだけでも、不正表示を抑止する効果はあるものと思われる。