昨年末のクリスマスイブに日本初の無料ISP「livedoor.com」がサービスを開始した。無料プロバイダーは、接続料金が一切かからない、つまり電話料金だけでインターネットに接続できるという点が売りなわけだが、私個人としては「勘弁してくれー」というのが率直な感想である。それは何故か? 完全な匿名ユーザーがネットを歩き回るのが嫌なのである。ヤバイのである。

匿名性の高いプロバイダーの代表としてプリペイドカード形式の「LUVnet」<http://www.luvnet.com/>というものがある。またInter-Qの非会員制サービスもそうだ。ダイアルQ2回線を使用してインターネットに接続をするので、会員登録が不要なのだ。さらに、今年6月20日にサービスを開始した「フリージャパン」<http://www.freejpn.com/>は専用のソフトをダウンロードすれば、ユーザ登録を一切必要とせず、いきなりプロバイダーのサービスを利用することが出来る。昨年のクリスマスイブにスタートした「livedoor」<http://www.livedoor.com/top.cgi>は、簡単な入会登録を必要とし、利用者の住所・氏名などを記入する手続があるが、登録内容がデタラメであっても確認作業は行っていないので事実上、匿名と言える。

たしかに利用料が一切かからないなら利用しても損はないのだが、今や1ヶ月数千円で使えるプロバイダーが多数ある中、無料であることがそんなに魅力的とは思えない。 むしろ、これら無料プロバイダーのユーザーが悪いことをした場合どうなるのだろうか?考えるまでもなく犯人を突き止めることは極めて困難である。 当然の成り行きとして、WEB110ではこれら両社のプロバイダー経由での掲示板へのログインは遮断している。

では無料プロバイダーのユーザーに何らかの被害を受けた被害者はどのように対処すればよいのだろうか?一般のプロバイダーであれば、接続IPアドレスやメール アドレスが分かればプロバイダー側では利用者の特定が出来た。よって、警察の協力さえあれば犯人を特定することは可能だった。果たして無料プロバイダーでは、利用者の特定が可能なのだろうか?電話にてlivedoorのカスタマサポートに問い合わせてみた。

対応にあたった男性は極めて丁寧に明快な答えをしてくれたが、結局、会社としては利用者を特定する方法は持ち合わせていなかった。確かに法律的にはプロバイダーに利用者の個人情報を把握する義務はないが、匿名サービスが犯罪に利用されると言う可能性について論じなかったのであろうか。実際問題、早くもlivedoor.comのメールアカウントを使ったスパム行為が発生している。重大事件が発生してからでは手遅れである。INS64の公衆電話からlivedoor へ接続していたならば、たとえ警察でも個人を特定することは不可能だ。

本来は、こういった完全な匿名工作の手口は公開したくないのだが、私が言わなくてもすでにアングラ社会では気付いているだろう。よって、掲示板を持っている人は早めに無料プロバイダー経由での書き込みを遮断するなり、メールのルール設定で受信拒否をするなど事前防衛に徹しておくことをお薦めする。 もちろん個人売買において無料プロバイダーのメールアドレスだけで相手を信用するのはもってのほかだ。

無料プロバイダーの全てを否定するつもりはないが、運営会社に管理責任を期待できないならば、 これが現在、唯一自分を守る手段である。