平成16年3月30日

調査対象:個人ユーザー
抽出方法:ウェブ及びメールマガジンの告知による任意参加
有効回答数:1,214件

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まずはじめに、一般利用者がインターネットでどのような個人情報を記入した経験があるかを分析してみる。


上位3位を見る限り、いずれも回答者1214人のおよそ7~8割にあたる人が、メールアドレスだけでなく住所や氏名などの個人情報が必要と思われる取引をした経験があることが分かった。逆に、「掲示板への投稿」と答えた人がわずか204人(回答者数対比16%)であることを見ると、そのような場面ではメールアドレスさえも記入しない人が多数を占めると推測できる。

また、「企業の懸賞への応募」や「懸賞専門サイトへの登録」など、一見すると最も回答が多そうなケースについては、それぞれ706人(回答者数対比58%)、613人(回答者数対比50%)という回答結果 となっているが、このような不確実な利益に対しても積極的に個人情報を提供する人が半数近くもいることは事実である。


次に、インターネットで個人情報を記入するに際に心配することについて複数回答で尋ねてみたところ、「特に何も心配しない」と答えた人はわずか27人で回答者数対比で見ると2%程度にとどまり、ほとんどの人が何らかの不安を抱いていることは明白である。とりわけ回答者のうち1032人(回答者数対比85%)が「提供した個人情報が目的外で使用されるのではないか」と感じており、その他の選択肢と合わせても回答者の多くが「提供先からの人為的な情報漏洩」を心配していることが分かった。一方、「ウェブサイトのセキュリティ上の欠陥で個人情報が流出しないか」と答えた人も956名(回答者数対比78%)にのぼり、人的な情報漏洩と同等の不安を抱いていることが伺える。


これまでに自分の個人情報が流出した経験があるかについては、7割弱の人が何らかの形で流出していると回答している(その他含)。注目すべきは「その他」の内訳で、ここで圧倒的に多かったのは「スパムメール・架空請求・電話勧誘・ダイレクトメール等が来ることにより個人情報が流

出していると確信している」という意見だった。しかしその中で流出経路を具体的に明記していた人は10人のみで、大部分の人は流出経路は不明だが個人情報は漏れていると確信していることが分かる。また、「分からない」「確認の不可能」という意見も53件あった。

「その他」の主なコメント

  • 流出したと思われる事象が発生しているが、その原因は不明
  • 迷惑メールが届くので流出しているのではないか
  • 流れているかどうかわからないので無いとは言えない
  • どこにも登録していないのに、就職先に勧誘の電話が来た
  • 懸賞サイトなどで個人情報を記入する様になってから特に金融関係のDMが多く届くようになった
  • ネット懸賞に応募しだしてから先物取引、金の購入勧誘等もろもろの電話が頻繁にかかってきた
  • 分からない

では、もしも自分が個人情報を提供していた企業から個人情報が流出してしまい、それに対する企業の対応が不誠実であった場合に消費者はどのような行動をとるだろうか。アンケート結果では「会員をやめる」「以後その企業の製品を買わない」等、その企業との関わりをやめようと考える人が多く、「今までとかわらない」と答えた人はわずか85人(回答者数対比0.07%)だった。ここでの質問はあくまで「対応が不誠実であった場合」であるため、対応が誠実だった場合の反応は明らかでないが、「その他」の意見の中では「誠実だった場合には今まで通りつきあう」との回答が数件見受けられた。

「その他」の主なコメント

  • 必要な企業であれば関係を続ける(PCやソフトの会社など切れない縁のもの)
  • 流出のみではなく具体的にどのような損害が発生したか、もしくは発生する蓋然性が生じたかにより対応は異なる。
  • 個人として会社の責任追求は腰が重いが、被害者の会が出来たら加わる。
  • 不誠実の度合いによると思う。必ずしも安易に選択肢の行動をするつもりもないし、その必要も感じない。
  • 会社まで抗議に出向く
  • 腹立たしいがどうしたらいいかわからない
  • 周りの人にその企業の悪口をいう
  • どこかに登録したデータは「必ず」漏れると思っているので、どうとも思わない

次の質問では、ネット上での個人を名指ししての誹謗中傷について、その目撃経験と削除の状況について尋ねてみた。その結果、回答者の7割弱が個人を特定し得る内容での誹謗中傷を目撃したことのあると答えている。そしてそれらが本人または第三者の指摘により削除されたケースは5割程度にとどまることが分かった。


個人情報保護法についての認知度は高いが、具体的な内容を知らない人が半数近くを占める


個人情報を提供する相手側の信頼度の基準としては、選択肢の中では大きな有意差は見られなかったものの、「プライバシーマークの有無」が最下位 だったことは注目すべき点である。また、過去の実績よりも企業の知名度が重視されていることも分かる。


際立った傾向は見られなかったが、個人情報を提供することが避けられない状況では、「必要最小限の項目しか記入しない」ことが、どんなセキュリティ対策にもまして最善の自己防衛方法と考えている人が多いことが伺われる。


全回答者の79%を占める959名が「違法な情報発信者に対する監視・取締りの強化」と答えていることから、個人情報流出による人権侵害に対しては、モラル教育や事後的な救済措置よりも、発信者に対する取締りを強化することが必要と感じている人が多いと思われる。


自由解答欄には全部で387件の意見が寄せられたが、その中で目立っていたものは、住所氏名などの基本情報は電話帳や住民票などで容易に調べられるので、企業からの漏洩を気にしても意味がないとする意見だった。また、個人情報を管理する者に縛りをかけるよりも、不正に収集した個人情報を利用してビジネスを行う者に対して罰則を強化し、そのリスクとそこから得られる利益バランスを崩すことでビジネスモデル自体を崩壊させることが効果的である等の意見も目立った。


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