アンケート実施期間:2003年3月20日~3月31日
アンケート調査対象:会社所属個人のインターネット利用経験者
調査委託機関:財団法人 インターネット協会
調査実施機関:WEB110.COM

本報告書は以下の3項目から構成されています

A.アンケート調査概要
B.ユーザーアンケート結果
C.ユーザーアンケート自由回答欄の参考意見(190件)


財団法人インターネット協会では、インターネットを利用する際のトラブルを少しでも減らすための啓発活動として、常識的と考えられるルールやマナーを集めた「インターネットを利用する方のためのルール&マナー集」を作成しており、これまでに「一般 版」「子ども版」「教師・保護者版」「社内版」「迷惑メール対策編」を公表してきた。この度、「インターネット上の人権意識調査」を実施し、会社に属する個人の生の声を収集して、『インターネットを利用する方のためのルール&マナー集「自己防衛版」』と同時に、アンケート結果 を公表する。

今年3月、会社に属する個人のインターネット利用者560人を対象に調査を行ったところ、会社または会社所属個人について、インターネットで批判を受けた経験がある人は30%程度に及ぶことが分かった。 まずは、批判を受けた経験のある人を対象とした調査結果を分析してみる。

批判の内容としては、「特定人物の批判」(27 %) が1位を占めており、2位 の「会社全体の批判」 (26 %)をわずかながら上回っている。そして「製品やサービスの批判 」といういわば正当な批判は20 %で3位に留まっている。 そしてそれらの批判がなされた方法について尋ねたところ、「会社以外の掲示板」(39 %)との回答が圧倒的多数を占めており、2位の「会社以外のホームページ」(13%)とあわせて、実に52%が他人が管理するウェブサイト上で行われていることが分かり、続いての「批判した方はどのような方ですか」という質問に対する回答の1位 が「匿名」(70%)という結果とあいまって、掲示板上での匿名情報が大きな影響を与えていることが伺える。

「何故批判されたのか、その理由が明確ですか」という問いに対しては、「明確である」と答えた人はわずか20%程度であり、多くの人は、その理由が分からないと答えている。そして批判がなされた際にとった対処としては、「無視した」(49%)が約半数を占め、2位 の「掲示板で反論」(10%)を大きく引き離している。この理由は定かではないが、「話し合いで解決」 と答えた人がわずか8%であることと、 先の質問で、批判した人の70%が匿名であるということから類推すると、話し合う相手が分からないことが最大の原因ではないかと思われる。しかし一方では「掲示板で反論」、 「管理人へ削除依頼」という回答も、ほぼ同数の10%程度見受けられることから、 書込みの内容如何では何らかのアクションをとる人が多いように思われる。

次に、批判を受けた経験の有無に関わらず、すべての回答者を対象とした質問を行った。 「他の会社に対する批判を見た場合にどう受け止めますか」という質問については、1位 が「批判されるようなことをしたのかと疑ってしまう」(32%) と答えており、インターネット上での情報が第三者に与える影響が大きいことが分かる。しかし全ての情報を鵜呑みにしているのかというと、「信憑性のない批判は会社への信頼性に影響しない」(24%)が2位 にあり、続いて「匿名で批判する者の方が悪い」(18%)が3位、そして逆に 「批判されても反論しない場合は真実だと信じる」と答えて人はわずか7%であることからも、情報の信憑性によって印象が異なるとの意見になっている。

このことは、「情報を信じる上で最も重視するポイントは何ですか」という質問に対する回答で、「客観的な根拠の提示があるかどうかで判断する」(53%)が過半数を占めていることからも明白である。 その他の回答としても、「それが書かれている媒体の信頼性」(16%) 「書かれている内容で判断する」(14%) 「情報発信者の身元」(13%)と続く。 しかしながら、「批判されている会社はどう対処すべきだと思いますか」という質問に対しては、半数近くが「自社のサイトにおいて弁明をすべき」(49%)と回答しており、批判に対する何らかのコメントを求める声が多いことが分かった。 ただし「批判をされている場所で弁明をすべき」という回答は13%で最下位 であることから、あくまで弁明の舞台は自社のウェブサイトで行われることが理想だと判断している。

「自社の批判に関して、インターネット上で観察を行っていますか」という問いに対しては、「しない」と「する」と答えた人がほぼ同数で二分され、「する」と答えた人の観察方法については、「検索エンジンを利用する」(47%)、「主要な掲示板サイトを巡回する」(46%)が寸差で1位 と2位を占めた。また少数ながら「外部の調査サービスを利用している」(3%)という回答もある。

次いで、「自ら他の会社や会社所属個人に対して、インターネットで批判をしたことがありますか」という質問を用意してみたが、86%が「ない」という回答であった。「ある」と答えた人を性別 に見てみると、男性が13%、女性が12%で、性別による差は見受けられなかった。「ある」と答えた人について、その理由を尋ねたところ、「その会社や会社所属個人に対してどうしても言いたかった」が68%で大部分を占めており、「会社所属個人に対する個人的な感情があった」(9%) 、「ムシャクシャしていたので、いじめてやろうと思った」(1%)となっている。そして批判した結果 について尋ねたところ、「何も変わらなかった」が(28%)で1位、 次いで「その会社が批判に対して対応してくれた」(25%)となっており、 対照的な結果が上位を占めている。これを詳しく分析してみると、「その会社や会社所属個人に対してどうしても言いたかった」と答えた62件に対しては、35%が「その会社が批判に対して対応してくれた」となっているのに対し、「会社所属個人に対する個人的な感情があった」と答えた9件に対しては44%となっており、個人的な感情の場合の方が、会社が対応するケースが多かったことが分かった。

「あなたが掲示板管理人なら、次のうちどの書き込みは削除すべきと考えますか」という問いに対しては、ほぼ全ての回答者がすべてのチェック項目にチェックをつけており回答結果 に有意差はない。また、「あなたが掲示板管理人なら、掲載された会社から掲載中止の要請があった場合にどうしますか 」という問いに対しては、1位「投稿者に真実性の証明を要求し、その結果 に応じて検討する」(25%) 、2位「会社側に、真実性の根拠の提示を求める」(21%) 、3位「投稿者に連絡が取れない場合には一時的に削除する」(20%) など、書込み内容に真実性が確認できない場合は原則削除とと言う回答が全体の84%を占めており、反対に「原則削除しない」という意見は12%で少数だった。

「あなたにとって理想的な掲示板とはどのようなものですか」という問いに対しては、1位 から3位までの回答が、管理人に厳格な監視や無責任な発言を防止する対策を望んでおり、回答全体の86%を占めている。その反対に、「完全匿名で書き込める掲示板」や「何を書いても消されない自由な掲示板」などの意見は9%程度にとどまった。

最後に、「根も葉もない噂が流布される原因は何だと思いますか」という問いかけを行ったところ、 1位が「匿名で情報発信が可能だから」(31%)であり、発信者が特定できないこに起因していると考える意見が多かった。また、2位 と3位の回答からは、 掲示板の運営姿勢が情報の内容に影響を与えている人が多いと伺えられる。「もともと疑わしい会社だから」と答えた人はわざか8%であった。

B.ユーザーアンケート結果
C.ユーザーアンケート自由回答欄の参考意見(190件)